おとなになる

 せみが道端にひっくり返って足をばたばたさせていました。
 せみってこんなに大きかったっけ?
 昔、小さい頃はわしづかみにしていたのに、
 今日、気づいたら触れなくなっていました。
 んー。これって私がおとなになったということでしょうか。
 年々、コワいと感じるものが増えている気がします。
 暗闇、大きな魚、虫、知らない人、草、、、
 コドモってすごいんだなぁ。
 せみは誰かがオモテに返してくれたかしら。
 こんなに気になるなら、勇気をふりしぼって
 ちょっと羽でもつまんであげればよかった。
 別に救世主になりたいわけでも、善い行いをしたわけでもないけど
 もう少しコドモの感覚を持っていたいな、と。