散髪ing

意味はないけどピーコ氏。

 ライブもとりあえず一段落したしなぁ〜、ということでイメチェンをはかって美容院へ行くことにしました。
 人見知り人生が長いわたくしですので、実は美容院はとても苦手です。
 髪の毛を切りながらの軽快なトークが苦手です。
 シャンプーされてるときの眠気をがまんするのが苦手です。
 そのあと、マッサージされるのも苦手です。
 たとえ切られすぎてても、切り足りなくても言うのが苦手です。
 じっとしてるのが苦手です。
 「オネェサマ系」の雑誌しかないのが苦手です。
 そして、そんなだから美容院に電話するのも苦手です。

 最近は、あまりにも思い通りの髪型にならないものですから
 余計に美容院から足が遠のいていました。
 で、知人からの紹介などで美容院を渡り歩き、「おまかせ」できるべく
 美容院を探している今日この頃なのであります。
 今回は、某フリーペーパーで探してみました。
 場所、金額、などすべての条件に合致するお店を探しました。

 じゃーん☆とうとう一軒のお店がヒットしました!
 ということで、一時間考えたあげくようやく予約の電話をしました。
 当日でおっけー☆ということで、約束の時間にお店に向かいました。

 
 ここからは「月曜スペシャル 驚愕!恐るべしカリスマ美容師の手つき」をお届けいたします。

 その美容院は、新宿駅に程近い一棟の雑居ビルの4階にございました。
 やけに古めかしいエレベーターに乗り込み、④とボタンを押す。
 ゆっくりとドアがしまり、上へ上がっていく重力を感じる。
 やがて表示は4階を指し、エレベータのドアが開くと、
そこは!!!
 すぐに美容院でした。忙しそうに電話をしている女性スタッフ。
 白を基調にした店内はおしゃれサロンです。
 中を見回すと、すでにひとりのお客さんが、染毛作業中でした。
 作業をしているのが男性スタッフ。
 電話を終わらせた女性スタッフが急に振り返り、私に声をかけます。

 「いらっしゃいませ・・・」
 そう言った彼女に笑顔はありません。
 カルテを書かされ、座ったまま待っている私。

 そのとき!鳴り響く電話のベル、、、
 手馴れたふうに受話器を取る女性スタッフ。
 「はい、、、はい、、、少々お待ち下さい」男性スタッフに近寄り
 「今日これから予約を入れたいそうなのですが、、、」と相談をもちかける。
 男性スタッフが言った言葉は!

 「今日はイッパイだ。明日以降で」
 『な、なんだって?!閉店まであと4時間はあるであろうに、
 お客さんは私を含め二人だけ!この状況で「イッパイ」とは、、、』
 流れ落ちる汗。走る緊張感。
 
 急に私の背後に人の気配を感じました。震える体を押さえながら顔を上げる。
 正面の鏡に映ったものは、、、!男性スタッフでした。

 「本日はどう致しましょう・・・」
 「か、カラーとカットでお願いします」
 搾り出すような声で、注文をする。
 「かしこまりました・・・」と、つぶやき、おもむろに取り出したのは、、、!ゴム手袋、、、。
 ゆっくりと両手にはめて行き、奥の部屋から染剤を取り出してくる。
 何種類かを容器に取り、混ぜて行く。
 部屋中に異様なニオイが立ち込める。
 緊張で固まった私の髪をやさしく触り、染剤を塗り始める男性スタッフ。
 私は思った。

 「とかさないの?(汗)」
 
 その傍らで見えたものは、、、!
 髪の毛を切り始めた男性スタッフの姿でした。
 その後、私は染剤を馴染ます時間を置いたのち、シャンプー台へ移される。
 女性スタッフにより、支配されるシャワーから出るお湯。
 私の頭部の染剤をゆっくりと洗い流していきます。
 仰向けで、顔に掛けられたペーパータオルが微妙に小さく、隙間から天井等が見えます。
 そんな状況で
垣間見えた女性スタッフの表情は!
 無表情でした。。。
 シャンプーは結構荒く、顔にお湯がかかるし、首を持ち上げるときはなかなかの鋭角を生み出し
 喉がつまるような思いでした。
 ようやく、シャンプーが終わりほっとしていると、先に切られていたお客さんが
 終わってお会計をしておりました。

 残すは私ひとりのみ、、、
 男性スタッフが、ハサミをギラつかせ私に近寄ってきます。
 とうとう始まる、、、
カットが、、、
 一応、希望となる写真を見せて「こんな風でお願いします」とおまかせしました。
 店内に響くのは、けだるいフレンチポップ。そして私の髪を切っていくハサミの音。
 刻々と時間は過ぎていき、20分も立った頃だろうか。

 男性スタッフが急に立ち上がる!
 「一度乾かしますね」
 ドライヤーから噴出される熱風を私にあてつけてくる男性スタッフ。
 ひたすら床掃除をしている女性スタッフ。
 
 その後も切られ続け、10分も経っただろうか。
 ようやく、彼のハサミが止まった。
 スタイリング用のワックスを両手に伸ばし、私のもみあげとえりあし、そして
 頭のてっぺん
だけ
に塗りたくる。
 「できあがりました」

 鏡の中に私が見たものは・・・!

 小僧。そう。小僧そのものでした(涙)
 こみあげる悔しさ。あふれ出る涙。渡されるレシート。
 満足そうな笑顔の男性スタッフから発せられた言葉は?!
 
 「長さはお気に召されましたか?」
 必死の思い出返した私のことばは!
 「予想以上に短くてびっくりです」
 
 それだけを言い残し、私はまたエレベーターに乗ったのでした。
 振り返ることなく、ただただ家を目指し歩いたのでした。。。