涙が止まらなかった

 昨年末の深夜。テレビを見ていました。
 番組のタイトルも、どんな番組だったのかもわかりませんが、
 たまたま私が見たところは、競走馬のウマと騎手に芽生えた深い絆の話でした。


 あまり強くはないけど、一生懸命走るウマ。
 それを見捨てることなく深い愛情を注いだ騎手。
 ウマは騎手に自分の顔を近づけ、あまえるしぐさまで見せるようになりました。


 そんなウマと騎手の関係はすばらしいものでした。


 ところが、事件がおきてしまいました。
 とあるレースでのデキゴト。


 ウマは、走っている最中、芝に足をとられ転んでしまったのです。
 騎手は振り落とされ、コース上に倒れています。
 他の競走馬たちがひととおり行き過ぎると、ころんでしまったウマが
 騎手のもとにやってきました。


 ところがその前足は、骨が完全に折れてしまい、
 もう皮でくっついているだけのかなり痛々しい状態です。
 そんな状態で、騎手を探し見つけると、そのもとに歩いていくのです。
 ウマは通常三本の足で歩くことは、できないとされています。
 それでも、騎手のもとにいくために歩いていたのです。


 ようやく騎手のそばに来たウマは、今までと同じように
 顔を近づけてあまえるのです。


 足を骨折した競走馬には治療と言う道はなく、
 安楽死させられてしまうのだそうです。
 サラブレッドは、四肢で適度に走るからこそ心肺機能を
 安定させているそうです。
 なので、走れなくなる、ましてや歩けなくなるということは
 生命維持すら難しいとのこと…


 人間の都合だけのような気がしてしまいますが、ウマの余生がツラいのを
 考慮した結果なのかもしれません。


 ウマは、そんなことがわかっているかのように、
 ここを離れたらもう一生騎手に会えなくなることをわかっているかのように、
 ずっと騎手に顔をすりよせ甘えていました。


 そんな映像とお話。
 深夜にひとり大号泣でした。


 こんなにも信頼されたり、することってあるかな。
 人間も同じ「動物」なのに。


 人間は知能や文明を手にした分、忘れてしまっているものが多いのかな。


 うちにも三匹の動物がいます。
 そこまでの信頼は得られていないかもしれないけど、
 現状、私だけが彼らのライフラインなのですね。


 責任とか、いろいろ考えさせられたあの夜のことを、
 今、急にふと思い出しました。